掃除や清掃の目的は一言で「キレイにすること」と言えますが、賃貸アパート・マンションの清掃の場合、「汚れた状態のまま放置すること」が思わぬ結果を招くことがあります。
退去率の上昇

マンションの共用部が汚いままですと居住者の満足度が低下し、退去の原因になってしまうことがあります。部屋の中は居住者の努力でキレイに維持することはできても、一歩部屋の外に出たら「とても汚い」「自分ではどうすることもできない」ということであれば、居住者のマインドが落ちてしまいます。もし来客があった場合、「共用部が汚れている物件に住んでいる」とは思われたくないはずです。
また、部屋探しをしている人にとっても、部屋自体はとても気に入ったとしても、「雑草が伸び放題、ゴミ置き場が乱れている、エントランスにチラシが散らばっている」ということですと、契約を躊躇してしまうでしょう。
資産価値の低下

日常清掃や定期清掃を怠ると美観を損なうだけではなく、建材寿命に影響が及んでしまうことがあります。例えば、経年による汚れは放置すればするほど落としにくいガンコ汚れに変化していきます。汚れたから清掃業者に床の洗浄を依頼したが思ったほどキレイにならず、結局床全部を張り替えた、といった例も存在します。コストがかかるからといって清掃も修繕もしないと、「いざ売却」というときに評価額を本来の価値よりも低く見積もられてしまうことがあるかもしれません。あるマンションオーナーの方から聞いた話ですが、築30年の1棟マンションを買った理由のひとつとして「共用部がとてもキレイで前所有者が物件をとても大事に扱っていたことがわかったから」ということでした。
信頼の失墜

上記の「退去率の増加」に近い内容になりますが、清掃が行われないことで例えばゴミ置き場のニオイ、虫の死骸や害虫の発生、コケやヌメリによる転倒事故といったことに発展してしまうと、退去リスクが上昇するばかりではなく、オーナーや管理会社側の信頼問題につながってしまいます。
賃貸住宅管理業法においては、賃貸住宅の清掃が維持保全業務の一環として位置づけられています。具体的には、アパートやマンションの共用部分(廊下、階段など)や設備(電気、水道など)の点検や清掃、そしてそれらの結果に基づいた修繕までを、一連の業務として管理側が担うことが求められています。