掃き掃除や拭き掃除。夏には雑草取り。冬には落ち葉掃き…。
アパート、マンションの美観維持のためには、年間を通じてやらなければならないことがたくさんあります。
では1年を通じてバランスよく手を加えるには、どのようなペースで清掃、管理をしていけばよいのでしょうか?
まずは季節ごとにどのような悩みごとが発生するのかをみていきます。
◇春
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〜強風と砂ぼこり〜
春の訪れとともに、風の強い日が続きます。
建物の通路や手すりに砂ぼこりや黄砂が溜まり、「掃き拭き」の清掃にいつも以上に時間を費やします。
〜ゴミ置き場と放置物〜
引っ越しのシーズンになると、退去にともない不用品を放置していく退去者が目立ちます。
可燃・不燃・資源ゴミがひとつの袋に入って捨てられていることもよくありますが、困るのは粗大ゴミです。
粗大ゴミは市区町村に有料での戸別収集を依頼するのが基本ルールなのですが、それを知ってか知らずか、ゴミ置き場に放置していってしまう人が出てきます。
また入居にともなってゴミ置き場が荒れることもあります。引っ越してきた方は、その地域のゴミ出しルールを理解できてないことが多く、そのため分別の方法を誤ったりしますが、たいていは次第に落ち着いていきます。
〜雑草〜
3月、4月になると、建物のまわりやアスファルトの隙間、植栽などから雑草が芽を出します。この時早めの対処をしておくと後になって困らないのですが、うっかりするとあっという間に草が背を伸ばし、あたりが生い茂ってしまいます。
◇夏
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〜梅雨と通路の汚れ〜
梅雨になり雨の日が多くなると、通路の汚れが気になり出します。
建物内外に吹き込んだ砂ぼこりは雨によって通路に広がり、床表面のくぼみに固着していきます。また、床に落ちた紙くずやポストからこぼれたチラシ類も水に溶け、床に密着していきます。
なおこの時期は、雨の天候が続くことで十分な掃き掃除が行えないことなどからも、建物や外まわりがいつもより汚れて見えてしまいます。
〜雑草の成長〜
梅雨を迎え、さらに暑さもピークになってくると雑草の成長は勢いを増します。ですが、この時期に草を抜いたり刈ったりしようとすると、暑さによる相当な疲労と消耗を覚悟しなければなりません。
〜植木の成長〜
雑草ばかりではなく、この時期は植栽の木々も一段と成長します。
~ゴミ置き場とニオイ~
ゴミ置き場に置かれた生ゴミが異臭を発することがあります。
清掃車が収集に来る当日の朝にゴミ出しをするルールが徹底されていればいいのですが、そうではなく、さらに管理・清掃する人がいないとなると、ニオイのあるゴミ置き場はさらに荒れていきます。
◇秋・冬
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〜落ち葉と枯れ葉〜
秋と冬において一番手を焼くのが落ち葉や枯れ葉の清掃です。
敷地内の植物が枯れ、それが敷地内にとどまっていればまだいいのですが、近隣に向かって葉が落ちたり散らばったりするとトラブルの火種になりかねません。
場所にもよりますが、周囲を緑で囲まれているようですと、清掃時間の大半を落ち葉拾いに費やしてしまうこともあります。
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このように季節ごとに見ますと、清掃・管理に何かと手がかかるのが春から秋にかけてで、冬は比較的作業負担が軽減されることがわかります。
これを踏まえ、アパート・マンションの清掃・管理においては、春から秋を現状維持の季節ととらえ、比較的に手がかからなくなる冬の季節に建物の床面を中心とした大掃除を行い、美観の回復を目指すのもよろしいかと思います。
大まかにいいますと、春・夏は雑草やゴミ置き場中心とした建物まわりの清掃に時間を割き、逆に冬場は床を中心とした建物内の清掃に時間を割く。そうすることで、年間を通じて全体をバランスよく管理していくのです。
建物の清掃・管理を業者に依頼する場合でも、春夏秋冬、毎月同じ作業を繰り返してもらうのではなく、季節ごとに作業内容に変化をつけてもらうのがよろしいかと思います。
建物内はいつもキレイだけどそのまわりは雑草がぼうぼう、というのではなんだか物足りません。逆に、雑草もなく、ゴミ置き場もキレイだけど、通路のシミやガムがそのままだったり、いつみても壁面がホコリっぽいままだったりするのではこれも不十分です。
毎月毎月、建物の内側も外側も全部キレイに維持しようとすると結構な労力になります。ですが、今月はここを(中心に)キレイにしよう、来月はあそこを(重点的に)掃除しよう、と計画的に作業を進めていくと、毎回の作業負担が確実に軽減されます。
建物の状態や立地・環境等、様々な要件により手のかけ方は違ってきますが、「季節がおよぼす影響」という視点を含みながら、アパート・マンションの清掃・管理を見直してみるのはいかがでしょうか。
暖かくなってくると、清掃に加え雑草対策にも時間を要するようになってきます。
植栽ばかりではなく、生命力の強い雑草はアスファルトの隙間からも芽を出します。
雑草が出るのがわずかな範囲であれば手で抜いてしまえばよいのですが、ある程度のボリュームになるとそれも大変です。
時間をかけてすべての雑草を取ったとしても、夏場の雑草はすぐに新しい芽を出します。
私どもの清掃では、手抜きでは対応しきれない量の雑草については、除草剤を使用しています。
除草剤には、大きく分けると液体タイプのものと粉(顆粒)タイプのものがあります。
【左が液体タイプの除草剤を散布している写真で、右が粉タイプを散布している写真です】
液体タイプの除草剤は、伸びてきた雑草に直接かけます。このタイプは土にかけると不活性化します。ですので、土自体にかけて芽がでてくるのをあらかじめ抑制する効果はありません。
一方、粉(顆粒)タイプのものは、伸びてきた雑草を枯れさせることができ、かつ、新しい芽が出てくるのを抑える効果もあります。
私どもは、安全性やコスト、使い勝手といった点で液体タイプのものを使用しています。
使い方は除草剤を直接葉にかけるという簡単なものですが、気をつけているのはそのタイミングです。
雑草は、除草剤で枯らせても消えてなくなるわけではなく、枯れた状態のままその場にとどまります。雑草が伸びきってしまった場合、それらをうまく枯らせたとしても、その後にその枯れた雑草を抜くという手間が発生します。
ですので、このタイプの除草剤は「草が小さいうちにまく」というのがなによりのポイントになります。
草が小さいうちでしたら、枯れさせてそのまま放置しておいてもさほど目立ちませんし、抜くにしても根が枯れていますので簡単に抜けます。
除草剤をかけるペースとしては、雑草の種類によりそれぞれ伸びるスピードが異なりますが、概ね月に1回〜2回です。
暑さがピークに達する7月、8月は伸びるスピードも増しますので、注意してその様子を観察します。
なお、除草剤ですが、使用にあたっては取り扱いに十分注意が必要です。
液体タイプのものは吸引しにくい利点がありますが、誤って皮膚にかかったりするととても危険ですので、私どもも常に緊張感を持って作業にあたっています。
冬場の掃除で大変となるのが落ち葉の片付けですが、ここでは落ち葉を効率的に片付ける道具をご紹介致します。
一般的に、落ち葉を掃くときには竹ボウキが使用されているかと思いますが、ここでおすすめしたいのは下の写真のような道具です。
これは「フロアドライヤー」とか「かっぱぎ」などと呼ばれている道具で、通常はたまった水をかき出したり、床清掃の現場では機械洗浄で出た汚水をかき集めるのに使用します。
このドライヤーが実は落ち葉をかき集めるのにも大変活躍します。
使い方は簡単で、水をかくときと同じ要領です。
ホウキですとひと掃きが「線」ですが、このドライヤーですとひとかきが「面」になります。一度の動作でホウキの倍以上の落ち葉を集めることができます。
私どもはこのドライヤーを落ち葉掃きに取り入れたことで作業負担がだいぶ軽減しました。
ゴミ置き場の維持で頭を悩ませている方は少なくないことでしょう。
具体的な悩みを挙げると次のようなものかと思います。
・ゴミ袋の中身が分別されていない。
・夏場になるとニオイが出る。
・粗大ゴミを置かれてしまう。
・いつもゴミ置き場内が散らかっている。
・ネコやカラスにゴミ置き場内を荒らされている。
第一に必要なのは、やはりルールの徹底といえます。
再三注意を促しているが改善されない、ということもよく見受けられますが、徹底すべきルールを整理しますと、大きくは2つです。
①収集車が来る「当日の朝」にゴミ出しをする。
②家庭内でしっかり分別する。
この2つのルールが守られているアパート・マンションでは、先に挙げたような「ニオイ」や「荒れる」といった問題はほとんど発生しません。
ルール①:朝出し
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「収集当日の朝にゴミを出す」という極めて簡単な行動を各自がとることで、ニオイが置き場内を満たす時間を短縮できますし、動物にいたずらの機会を与える時間も短くできます。
分別がきちんとなされていれば、収集車もきちんとゴミを収集してくれます。
生ゴミと空き缶が同じ袋に入っていれば、警告シールを貼られ、収集されることなくゴミ置き場にそのまま残されます。これがニオイの元になり、ネコやカラスの餌食になります。
収集車が来る当日の朝にゴミ出しをする、というルールは、各自が守ろうと思えば簡単に実現できるルールです。
「その日の朝」に限定しますと「不便だ」とか「朝起きるのが遅い」「夜勤なので朝は家にいない」という声があがったりもしますが、各自の理由はともかく、「原則朝出し」でルール付けしておきたいものです。
「収集日当日の朝か前日の夜」としますと、前日の夜としているのに、前日の昼に出す人が現れ、なし崩し的に「いつ出してもいい」という空気になっていく傾向があります。
「当日の朝」に限定することでルールをシンプルにし、居住者間で緊張感が生まれるようにします。
また、朝出しルールを守るという一定の緊張感が「分別のルール」を守ってもらうための意識づけにもつながります。
暗い夜間のうちのゴミ出しは他人の目が気になりませんから、ゴミ袋の中の分別もいい加減になりがちです。
朝限定であれば、ゴミ置き場に人が来る機会が集中しますから、他人の目を意識し、袋内の分別に注意を注ごうとします。
ルール②:分別
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燃やせるゴミもカン・ペットボトルも関係なくひとつのゴミ袋にすべてを詰め込む人がいますが、このような人は論外として、細かい分別ルールがわかっていないためにゴミ袋内をいっしょくたにしてしまう人も少なくありません。
それは粗大ゴミも同じで、何センチ以内のゴミが燃やさないゴミで、何センチ以上のゴミが粗大ゴミなのか、ほとんどの人は知らないかもしれません。
粗大ゴミだと認識しながらもゴミ置き場に置いていく確信犯もいますが、たとえば「この扇風機はさほど大きくないから通常の収集でも持っていってもらえるだろう」と自分本位の自己診断で粗大ゴミを放置してしまう人も少なからず存在します。
分別のルールや粗大ゴミの定義となるサイズは市区町村によりそれぞれ異なりますので、「このアパート・マンションの場合は、このようなゴミ出しルールになります」と、浸透するまで再三伝えていく必要があります。
あまりにも分別ルールが守られないと、清掃局から指導が入り、それでも改善されない場合は、収集車の巡回ルートから外され、収集してもらえなくなることもありますので、そうなった場合の不都合を居住者の方に理解してもらうことも有効です。
これらの基本ルールの浸透のためには、掲示板や回覧・戸別ポスティング等を通じて居住者の方の意識改善に働きかけていくことになりますが、もうひとつ管理側がやっておくべきこととして、「ゴミ置き場のメンテナンス」があります。
これについては「ゴミ置き場を保つには②」をご覧ください。
ゴミ置き場をキレイに保つために管理する側はどの点に注意すればよいのでしょうか。
荒れているゴミ置き場で共通していることのひとつが、置き場内の配置場所(仕切り)が細かく定められていないという点です。
置き場内では、燃やせるゴミはこの場所、資源ゴミはこの場所、といった具合にそれぞれの置き場所をわかりやすく示しておくのが理想的です。
ゴミ置き場のスペースが確保されているものの、その中に仕切りとなる表示やライン、棚などが一切ない場合、またあったとしてもその表示・ガイドが不十分な場合、ゴミを置きに来た居住者は、そのスペースにゴミを「置く」というよりも「投げる」に近い感覚で袋を残していきます。
ゴミ置き場内に一定の秩序を示しておかなければ、居住者も無秩序にそこを利用します。
ルールが浸透していなければ、ルールを乱しているという自覚が生じませんから、置き場内は荒れた状態が常態化します。
市区町村によりゴミ収集のカテゴリーはそれぞれ異なりますが、一般的に共通している「燃やせるゴミ」「燃やさないゴミ」「カン」「ビン」「ペットボトル」「資源」「危険物」などの大きなカテゴリーは明示しておく必要があります。
さらにこれに加えて、各カテゴリーごとに収集車が来る曜日がわかるように、「燃やせるゴミ:収集日 月曜日・木曜日」などといった具合に収集日も明示しておきます。
そして目立つように、「収集当日の朝以外はゴミ置き場にゴミを置かないで下さい」と明示します。
これらのことを行っただけでゴミ置き場の秩序が回復した物件がいくつもありました。
以前は置き場の中がだいぶ荒れ、汚れていたのですが、この仕切りを行っただけでその後はほとんど荒れることがありません。
ということは、これまでゴミ置き場が荒れていたのは居住者の方々の問題・原因ではなく、管理側の問題ということになります。
もともときちんとルールを守れる方々であるはずなのに、置き場内の仕切りやルールを明示できなかったことからゴミ置き場は荒れていたのです。
■掃く①―ホウキ―
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アパート・マンション掃除の基本の「キ」となるのが掃き掃除です。
通路・階段、建物まわり等、掃き方次第で見栄えも変わってきます。
掃くという行為はひとつですが、道具となるホウキの種類はいくつもあります。
どのホウキを使用するかで、清掃効率、体への負担(疲労度合)、そして仕上がりに違いをもたらします。
私どもが使用しているのは写真のようなものです。
①のホウキも②のホウキも極めて一般的なものですが、これらに少しこだわりを持っています。
①のホウキは様々な材料で作られたものが市販されていますが、私どもが使用しているのは「混穂ボウキ」です。
混穂ボウキは黒シダの穂と赤シダの穂をそれぞれ混ぜ合わせたものです。それぞれの特徴が組み合わせれたことで、穂に適度なコシな腰が備わり、丁度いい具合にしなります。
②のホウキは自在ボウキと呼ばれるものですが、これについては伸縮式の柄を組み合わせて使っています。
いっぱいまで柄を伸ばすと1.8メートル程度になります。基本的にはホウキとして使用しますが、高い場所にあるクモの巣を払い落すのにも有効です。
清掃では混穂ボウキと自在ボウキを同時に使います。
自在ボウキで砂ボコリ、ゴミを集め、混穂ボウキでチリトリに掃き込んでいきます。
混穂ボウキ一本でもよいのですが、面の広さでみますと、自在ボウキのほうが広く床をとらえられますので、効率的にゴミを集められます。
また伸縮式ですので、通路や階段などの場所に応じて適当な柄の長さに調節できます。
■掃く②―チリトリ―
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私たちが使用しているチリトリはいわゆる「文化チリトリ」です。鉄製ではなく、プラスチック製です。鉄製のもとと違い、床に置く度に「ガッ」という音が鳴りませんので、周囲を気にすることなく使用できます。
このチリトリには小さないくつかの工夫がほどこされています。
○バリアフリーの開口部
開口部に床と接触する部分にゴムが取り付けられていて、これにより細かいチリ・ホコリを逃さず上手にとることができます。
○L字の取っ手
チリトリの取っ手部分がL字になっているため、本体を壁やフェンスにひっかけることができます。
作業中のちょっとしたときや、急に雨が降り出したとき、L字の壁掛け機能が案外役に立ちます。
○ホウキを固定する2つの突起
ホウキをはめ込むための突起があり、ホウキとチリトリをセットにしておくことができます。
■除草 ―ねじり鎌―
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雑草はできれば根から抜きたいものです。根っこごと雑草を抜くのは手間がかかりますが、幹の部分で刈ってしまうと雑草はそのまま伸び続けます。
根から雑草を撮るのに便利なのが、ねじり鎌です。
植栽の除草や未舗装駐車場の草取りに向いています。
使い方は簡単で、奥から手前に引き、根を掘り返すようにします。
潮干狩りの要領です。
鎌も決して悪くはないのですが、このねじり鎌を使い始めたことで随分草取りが楽になりました。
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